UGCトラブルに悩むブランド担当者へ
もしあなたが今、「お客様の投稿を無断で使ってトラブルになった」という苦い経験から、UGC(ユーザー生成コンテンツ)の活用に一歩を踏み出せずにいるのなら。
そのお気持ちは、痛いほど分かります。熱意をもって開発した商品が、お客様の喜びの声と共にSNSで広がっていく光景は、ブランド担当者にとって何よりの喜びであるはずです。それなのに、たった一度の過ちが、お客様との間に修復しがたい溝を生んでしまう。UGC活用に恐怖心を抱いてしまうのも無理はありません。
しかし、そのトラブルの根本原因は、本当に「手続き上のミス」や「権利関係の確認漏れ」だけだったのでしょうか。
私たち(ファーストテンプル)は、これまで多くのコスメブランドが顧客との関係構築に悩み、情熱ある施策が空回りする姿を目の当たりにしてきました。その経験から断言できるのは、UGCトラブルは、多くの情熱あるブランドが陥りがちな「あるワナ」のサインだということです。
この記事では、UGCトラブルの本質的な原因と、それを乗り越えて顧客と本質的な信頼関係を築くための「視点」について解説します。
なぜ、あなたのUGC施策は「トラブル」と隣り合わせなのか?
UGCトラブルが起こる本質的な原因。それは、ブランド側が「UGC=無料の広告素材」という誤解に陥ってしまうことにあります。
成果を急ぐあまり、短期的な売上やCPA(顧客獲得単価)といった「数字」ばかりを追いかけてしまう。すると、お客様が勇気を出して投稿してくれた「熱い思い」のこもった口コミは、いつしか「広告クリエイティブのA/Bテストに使える素材」へと成り下がってしまいます。
陥るワナ①:見つけて使う「狩猟型」UGC活用の限界
「#(商品名)」で検索し、良さそうな投稿を見つけては「掲載許可をいただけますか?」とDMを送る。この「狩猟型」のUGC活用は、一見効率的に見えます。
しかし、その投稿の裏にあるお客様の「なぜ投稿しようと思ったのか」という文脈や熱量を無視したまま「素材」として扱えば、お客様がブランドに感じていたはずの「共感」は、「一方的に利用された」という「不信感」へと変わりかねません。
陥るワナ②:ギフティングが「お仕事投稿」にしかならない理由
UGCが自然に生まれないからと、ギフティングやインフルエンサーのスカウティングに頼るケースも多いでしょう。しかし、フォロワー数だけを見て「とりあえず新商品を配る」といった施策では、熱量のこもった投稿は期待できません。
結果として集まるのは、提供された商品とハッシュタグが並んだだけの、熱量の感じられない「お仕事投稿」ばかり。これでは、費用対効果が見合わないだけでなく、それを見た他の顧客の心を動かすことも難しいのではないでしょうか。
UGCは「素材」ではない。「作り手の熱い思い」が顧客に伝播した「結果」である
私たちが考えるUGCの本質は、まったく逆の場所にあります。
UGCとは、ブランドが「活用する素材」ではありません。それは、作り手の「この商品で世の中を良くしたい」という熱い思いや開発ストーリーが顧客に正しく伝わり、共感したお客様から「自然と生まれてくるもの」なのです。
つまり、UGCとは「熱い思い」が伝播した「結果」であり「証拠」です。
もし今、UGCが生まれなかったり、トラブルに発展したりしているのであれば、それは「UGC活用の戦術」が間違っているのではなく、大前提である「ブランドの熱い思いが、顧客に正しく伝わっていない」可能性を疑うべきサインではないでしょうか。
視点を変える。「活用」から「UGCが生まれ続ける土壌づくり」へ
私たちが提案したいのは、「UGCを集めて使う」という視点から、「UGCが自然と生まれ続ける土壌をつくる」という視点への転換です。
その土壌づくりの鍵は、ブランドが持つ「本質的な価値(USP)」を見抜き、それを顧客の「本音(インサイト)」と結びつけることにあります。
実績事例:D2Cヘアケアブランドの転換点
「ネガティブ訴求」を捨て「ポジティブな未来」を語った結果
かつて私たちが支援した、あるD2Cヘアケアブランドの事例をご紹介します。当時、白髪ケア商品の広告は「悩み」や「コンプレックス」を煽るネガティブな訴求が業界の常識でした。しかし、私たちはターゲット顧客の「本音」を深くヒアリングする中で、お客様自身がそのネガティブな訴求に嫌悪感を抱いている事実を突き止めました。
お客様の隠された本音は「ポジティブな気持ちで悩みを解決したい」というものでした。
私たちは社内で推奨されていたネガティブ訴求案を却下し、「悩みを心地よく解決し、ポジティブな未来を手に入れる」という、ブランドの「熱い思い」と顧客の「本音」を結びつけた全く新しいメッセージを提案。このメッセージを軸に、クリエイティブから広告文まで、すべての顧客接点で一貫したコミュニケーションを徹底しました。
結果、この戦略は市場から熱狂的に受け入れられ、ポジティブなUGC(購入者様の喜びの声)が自然発生的に拡大。ローンチ後わずか6ヶ月で約20万人の新規購入者を獲得する成功につながりました。
ギフティングやスカウティングを「再定義」する
この「土壌づくり」という視点に立てば、ギフティングやスカウティングといった施策の意味も変わってきます。
これらは「投稿素材」をもらうための施策ではありません。ブランドの「熱い思い」に心から共感し、それを自分の言葉で本気で語ってくれる未来の「伴走パートナー」を見つけるための活動です。
私たちは、AIツールなどを活用してインフルエンサーのフォロワーの「質」や「興味関心」をデータで徹底的に分析します。フォロワー数という表面的な数字に惑わされず、本当にブランドの哲学と親和性の高い方を見極め、丁寧に関係性を構築していく。
これこそが、熱量のあるUGCを生み出す「土壌づくり」の一環なのです。
明日から試せる「UGCが育つ土壌」づくりの第一歩
もし、あなたのブランドのUGC施策が空回りしていると感じるなら、一度立ち止まって、ブランドの「本質」と顧客の「本音」を見つめ直してみてはいかがでしょうか。
以下の「問い」は、UGC活用のための権利許諾チェックリストではありません。ブランドの「熱い思い」の核を見つけるための、戦略的なワークです。
ワーク:あなたのブランドについて、顧客に「語ってほしい」ことは何ですか?
1. 私たちの「熱い思い」
競合商品ではなく、なぜ「この商品」を世に送り出したかったのか?
(例:悩みをネガティブに煽るのではなく、ポジティブに解決したかったから)
2. 顧客の「本音」
顧客はこの商品カテゴリに対して、どんな「不満・不安・満たされない思い」を抱えているか?
(例:広告で悩みを煽られるのが嫌だ。もっと心地よくケアしたい)
3. 交差点(=ブランドメッセージ)
1と2を繋ぎ、顧客が思わず「そうそう!それが欲しかった!」と共感するメッセージは何か?
UGCトラブルは、ブランドの「原点」に立ち返るチャンス
「お客様の投稿を無断で使ってトラブルになった」という経験は、ブランドにとって非常に辛い出来事です。
しかし、それは同時に、自分たちの「熱い思い」が顧客に正しく伝わっているか、表面的な「素材集め」に陥っていなかったかを見直す絶好の機会でもあります。
UGCは「活用」するものではなく、ブランドの哲学に共感した顧客から「自然と生まれる」もの。
私たちファーストテンプルは、創業時から「かけこみ寺」のような存在でありたいと願ってきました。それは、素晴らしい製品と情熱はあるのに、マーケティングのノウハウ不足で道に迷っている企業様の力になりたいという一心からです。
私たちが提供するのは、単なるSNS運用代行や動画制作、コンサルティングではありません。お客様の「熱い思い」を深く理解し、それが顧客の「本音」に届く形に変換し、成果に結びつけるまでを徹底的に伴走する「パートナー」です。
もし、この記事を読んで、UGC活用やSNS運用の「前提」から見直したいと感じたら。あるいは、あなたのブランドが持つ「熱い思い」を、どうすれば顧客に正しく届けられるか悩んでいるのなら。
ぜひ一度、私たちの無料相談をご活用ください。
私たちは、あなたのブランドの「熱い思い」を形にする伴走者です。

