「熱意を込めて開発した商品なのに、なぜかインフルエンサーの投稿は熱量が低い…」
「ギフティングをしても、商品の機能説明に終始した、ありきたりな紹介で終わってしまう…」
「良かれと思って『#PR』を付けると、途端にエンゲージメントが下がり、ユーザーにスルーされてしまう…」
もしあなたが今、インフルエンサーマーケティングにおいて、このような「想いが届かない」という壁に突き当たっているのだとしたら。その原因は、あなたの努力不足や依頼方法のテクニックの問題ではないのかもしれません。
実は、多くの企業が見落としている、もっと本質的な原因があります。それは、そもそもインフルエンサーとの”戦う場所”を間違えているということです。
私たちも過去、クライアントの「熱い想い」が詰まった製品が、届け方を間違えたことで、その価値を十分に世の中に伝えきれなかったという悔しい経験を何度もしてきました。
この記事では、そんな苦しい状況から抜け出し、インフルエンサーを単なる「広告塔」から、ブランドの未来を共に創る「共犯者」へと変えるための、本質的な視点と具体的な方法をお伝えします。
インフルエンサーPRが「空振り」で終わる2つの“思考のワナ”
多くの企業がインフルエンサーマーケティングで成果を出せない最大の理由は、潤沢な資本を持つ大手企業と同じ土俵で、真正面から「差別化なき消耗戦」を仕掛けてしまっているからです。
私たち自身、過去にクライアントをその消耗戦に巻き込んでしまい、撤退に追い込んでしまったという痛恨の経験があります。なぜ、一般的な手法をただ真似るだけでは、貴重な時間とコストを浪費するだけで終わってしまうのでしょうか。そこには、多くの担当者が見過ごしがちな2つの構造的なワナが存在します。
失敗例1:「良いモノを渡せば伝わる」という作り手目線の限界
「これだけこだわって作ったのだから、使ってもらえれば良さは絶対に伝わるはずだ。」
作り手として、そう信じたい気持ちは痛いほど分かります。しかし、商品の品質が良いのは、今の市場ではもはや大前提です。
その背景にある開発ストーリーやブランドの想いを伝えずに、商品をただ渡すだけでは、インフルエンサーは表面的な機能やスペックを語ることしかできません。結果として、他の無数の商品との違いがフォロワーに伝わらず、「よくあるPR投稿の一つ」として記憶に残ることなく埋もれてしまうのです。
失敗例2:「フォロワー数さえ多ければ良い」という認知至上主義の落とし穴
「まずは一人でも多くの人に知ってもらいたい」という焦りから、フォロワー数という分かりやすい指標だけでインフルエンサーを選んでいないでしょうか。
しかし、ブランドとの相性や、そのフォロワーが本当に自社のターゲット層と合致しているかという「質」を無視した選定は、全く興味のない層に情報を届ける”無駄撃ち”に他なりません。たとえ一瞬のリーチ数が稼げたとしても、誰の「自分ごと」にもならず、心を動かすエンゲージメントや、その先の購買行動に繋がることは極めて稀でしょう。
『Creatorスカウト』:特定のペルソナに影響力を持つインフルエンサーをデータに基づいて探し出し、直接アプローチすることで、無駄のない効果的な施策を実現します。

視点を変えれば成果は変わる。100億円ブランドを育てたインフルエンサーマーケティングの思考法
「広告色を消す」といった小手先のテクニックに走る前に、一度立ち止まってみてください。本当に変えるべきは、インフルエンサーマーケティングに対する「視点」そのものかもしれません。
ここでは、私たちが数々のクライアントの伴走パートナーとして、失敗と成功の中から導き出した、インフルエンサーを熱狂的な味方に変えるための本質的な思考法を、具体的な事例と共にご紹介します。
思考法1:インフルエンサーを「最初の顧客」として口説き落とす
私たちが過去にドラッグストアコスメのブランドを3年で売上100億円規模に成長させた際、極めて重要な発見がありました。それは、「本当の顧客は誰か?」を問い直し、生活者だけでなく、棚の生殺与奪権を握る「流通バイヤー」を最重要顧客と再定義したことです。消費者にいくら話題になっても、バイヤーの心を動かせなければ、商品は店頭にすら並ばないからです。
この考え方は、インフルエンサーマーケティングにも全く同じことが言えます。
あなたのブランドにとって「本当の顧客」の第一号は、他ならぬインフルエンサー自身なのです。
フォロワーに商品を届ける前に、まず、目の前のインフルエンサーに、あなたのブランドの熱狂的なファンになってもらう必要があります。「商品を説明する」という姿勢から、「ブランドの哲学や開発ストーリーを伝え、パートナーとして口説き落とす」という視点へ。この転換こそが、投稿の熱量、そして情報の伝わり方を劇的に変えるのです。
思考法2:「広告は嫌い」というインサイトを戦略の起点にする
D2Cヘアケアブランドの立ち上げを支援し、ローンチ後わずか6ヶ月で約20万人の新規購入者を獲得した際も、私たちは業界の”当たり前”に疑問を呈することから始めました。
当時、白髪ケア商品の訴求は「悩み」や「コンプレックス」を煽るネガティブなものが効果的、というのが定説でした。しかし、私たちはターゲット顧客へのヒアリングを通じ、「そんな広告は見たくない」「もっとポジティブな気持ちで悩みを解決したい」という隠された本音を発見したのです。
インフルエンサーも、そしてその先にいる無数のフォロワーも、誰もが「あからさまな広告は嫌い」です。この誰もが知る”本音”を、無視するのではなく、戦略の出発点に据えるべきではないでしょうか。
「広告色を消してください」と曖昧にお願いするのではありません。「あなたの言葉で、この商品のストーリーを自由に表現してほしい」と、クリエイターへの敬意を持って依頼するのです。企業からの”やらされ仕事”ではなく、インフルエンサー自身の”表現活動”へと昇華したとき、その投稿は広告という枠を超え、本物の熱量を持つコンテンツへと進化します。
明日からチームで実践できる、PR投稿の熱量を高める第一歩
思考法を理解したら、次は行動です。いきなりすべてを完璧に実行する必要はありません。まずは、あなたのチームで今日から試せる、小さな一歩を踏み出すことから始めましょう。
例えば、インフルエンサーを選定する際、フォロワー数だけでなく、AIツールを使ってフォロワーの興味関心やアクティブ率をデータで分析してみる。あるいは、依頼文を送る際、商品スペックの資料だけでなく、開発者の想いを綴ったブログ記事のリンクを一本添えてみる。
これだけの変化でも、インフルエンサーの反応はきっと変わってくるはずです。
あなたのブランドの「熱意」を伝えるための3つの問い
ぜひ、あなたのチームで、以下の問いに対する答えを書き出してみてください。
- 私たちがインフルエンサーに最初に伝えるべき「ブランドの熱い想い(開発ストーリー)」は何ですか?
- インフルエンサーが「広告っぽい投稿をしたくない」と感じる本音の裏には、どんな「不満・不安・不便」がありますか?(例:自分の世界観を壊したくない、フォロワーに嘘をつきたくない)
- その「不」を解消し、彼らが心から「このブランドを応援したい」と思えるように、私たちは明日から何ができますか?
あなたの情熱を、ビジネスを動かす力に変えるために
「広告色を消した自然なPR投稿」とは、決してテクニックで作られるものではありません。
それは、ブランドの「熱い想い」がインフルエンサーという「最初の顧客」の心を動かし、その熱量がフォロワーへと伝播した結果、ごく自然に生まれるものなのです。
私たちは、素晴らしい製品と揺るぎない情熱を持ちながらも、その届け方に悩む企業の「かけこみ寺」でありたいと心から願っています。目先の戦術ではなく、インフルエンサーとの強固な関係性を築くという「戦略」の視点を持つことで、あなたの情熱は、必ずやビジネスを動かす大きな力になるはずです。
もし、この記事を読んで、自社のインフルエンサー戦略を根本から見つめ直したいと感じたら。あるいは、あなたのブランドに眠る「熱い想い」を共に言語化し、届けるべき人に届けるための客観的な視点が必要だと感じたら。
ぜひ一度、私たちの無料相談をご活用ください。
私たちは、単にフォロワーの多い「広告塔」を探すお手伝いをするのではありません。あなたのブランドの価値を心から信じ、共に広めてくれる”最初のファン”を見つけ出し、事業の成長を加速させるための、真の「伴走パートナー」です。