もしあなたが今、そんなジレンマの中で立ち止まっているのであれば、そのもどかしいお気持ちは、私たちにも痛いほどわかります。素晴らしい商品と、それを届けたいという熱い想いがあるにも関わらず、マーケティングの壁に阻まれてしまう。その悔しさは、かつて私たちが資金ショート寸前のクライアントを目の前にしながら、救うことができなかった時に感じた無力感そのものです。
インフルエンサー施策における薬機法の壁は、多くのブランドの成長を阻む大きな課題です。しかし、その不安の本質的な原因は、あなたの知識や努力不足ではありません。
もしかしたら、その課題と戦うための「視点」そのものを、少しだけ見誤っているのかもしれません。この記事では、薬機法を”敵”として恐れるのではなく、”信頼のガイドライン”として味方につけるための、新しい視点と具体的な思考法をお伝えします。
なぜ成果が出ない?インフルエンサーマーケティングで陥る2つの罠
かつて私たちには、苦い失敗の経験があります。限られた予算しかないクライアント様に対し、潤沢な資本を持つ大手と同じ「当たり前の手法」を提案してしまいました。結果、クライアント様を激しい消耗戦に巻き込み、撤退へと追い込んでしまったのです。
薬機法リスクを恐れるあまり、多くの企業が陥ってしまう思考の罠は、この失敗と全く同じ構造をしています。
罠1:「薬機法OK」な表現だけを追い求め、誰の心にも響かない
「この表現は薬機法に抵触しないか?」
その一点を気にするあまり、効果効能には一切触れず、誰にでも言える当たり障りのない表現ばかりをインフルエンサーに求めてはいないでしょうか。
それは「良いモノを作れば、多くを語らずとも売れるはず」という、プロダクトアウトの罠によく似ています。しかし、情報に溢れた現代において、その考え方だけでは消費者の心に響かせることは困難です。結果として生まれるのは、誰の記憶にも残らない、無味乾燥な投稿の山。これでは、商品の本当の魅力は伝わりません。
罠2:フォロワー数と価格だけで選び、リスク管理が不能になる
「とにかく認知を広げたい」という焦りから、フォロワー数やエンゲージメント率といった、表面的な数字だけでインフルエンサーを選定していないでしょうか。
もちろん、それらの指標も重要です。しかし、そのインフルエンサーが本当にあなたのブランドを理解し、共感してくれているとは限りません。ブランドへの熱意がなければ、意図せず薬機法に抵触する表現を使ってしまったり、ステルスマーケティング規制に違反したりするリスクは、むしろ高まります。
薬機法を味方に変える、100億円ブランドを育てた2つの思考法
薬機法は「何を言ってはいけないか」を定めたルールです。しかし視点を変えれば、それは「どうすれば顧客の信頼を損なわずに、商品の魅力を伝えられるか」というヒントが詰まったガイドラインなのです。
私たちが数々のクライアント様との伴走を通じて確立した、この課題を突破するための本質的な思考法を2つご紹介します。
思考法1:リスクは「表現」ではなく「人」で管理する
私たちは過去、あるドラッグストアコスメブランドをご支援した際、ビジネスの成功の鍵を握る「本当の顧客」は、棚の采配権を持つ「流通バイヤー」であると再定義しました。戦略の軸足をBtoBマーケティングに置くことで、3年で売上100億円という急成長を実現したのです。
インフルエンサー戦略も、全く同じです。見るべきは、インフルエンサー本人のフォロワー数だけではありません。その先にいる「フォロワーの質」こそが、最も重要なのです。
そのフォロワーは、本当にコスメに興味があるか?
能動的に情報を収集し、購買意欲が高いか?
インフルエンサーと親密な信頼関係を築けているか?
こうしたことは、今やAIを活用したツールで、データとして可視化できます。「本当にコスメが好きで、質の高い情報を求めるフォロワー」を持つインフルエンサーは、ブランドへの理解度も高く、「自分のファンを裏切りたくない」という強い想いを持っています。その誠実さこそが、薬機法リスクに対する何よりの防波堤となるのです。
思考法2:「効能」ではなく「個人の感情」を語ってもらう
かつて白髪ケア商品の広告では、「悩み」を煽るネガティブな訴求が常識でした。しかし、私たちが実際の顧客の声に深く耳を傾けると、その訴求自体に嫌悪感を抱いているという本音が見えてきました。
そこで私たちは業界の常識を覆し、「悩みを心地よく解決し、ポジティブな未来を手に入れる」という新しいメッセージを軸にコミュニケーションを再構築。結果、ローンチ後わずか半年で約20万人の新規顧客を獲得しました。
インフルエンサーに語ってもらうべきは、規制の対象となる「効果効能」ではありません。その商品を使ったことで「どんな気持ちになったか」「日常がどう変わったか」という、個人のリアルな感情(ストーリー)なのです。
例えば、「この一手間が、忙しい朝の私を少しだけ好きにさせてくれる」といった個人の感想は、薬機法に抵触することなく、スペックの説明を繰り返すよりも強く、深く、人の心を動かす共感を呼び起こします。
明日からあなたのチームで試せる、最初の一歩
難しく考える必要はありません。まずは、今ある情報と考え方を少しだけ変えることから始めてみませんか。あなたのチームで、以下の問いについて話し合ってみてください。
- 私たちがインフルエンサーを通じて、本当に届けたい「感情」は何か?(例:自分への自信、新しい一日へのときめき)
- その感情を、薬機法に触れない「個人の感想」として語るなら、どんな言葉になるか?(既存の良質なUGCから探してみましょう)
- 今の候補インフルエンサーのフォロワーは、本当にその感情に共感してくれる人たちか?(コメントの熱量などから質を想像してみましょう)
ブランドの情熱を、届けるべき人に届けるために
薬機法は、あなたの情熱の前に立ちはだかる壁ではありません。むしろ、ブランドの誠実さを示し、顧客と長期的な信頼関係を築くための大切なガイドラインです。
小手先の表現テクニックに頭を悩ませる時間は、もう終わりにしませんか。その時間を、あなたのブランドストーリーを心から愛し、自分の言葉で熱く語ってくれる「未来のファン」を見つけるために使いましょう。
私たちファーストテンプルは、創業以来、「素晴らしい商品と情熱はあるが、マーケティングのノウハウが不足している」、そんなブランドの「かけこみ寺」でありたいと願い、伴走を続けてきました。
もし、この記事を読んで、自社のインフルエンサー戦略を根幹から見つめ直したい、あるいはデータに基づいたインフルエンサーの選定や、共感を呼ぶ動画制作について客観的な視点が必要だと感じたら。
ぜひ一度、私たちの無料相談をご活用ください。私たちは、あなたのブランドの情熱を、必ずや成果へと変える伴走者です。