もしあなたが今、競合他社が起用するインフルエンサーのリストとにらめっこしているのであれば、少しだけ手を止めてみてください。
「あのブランドがAさんを起用したから、うちも依頼すれば売れるはずだ」
「とにかくフォロワー数の多い人にギフティングすれば、認知は広がるだろう」
こうした施策を試したものの、思うような売上やUGC(ユーザー生成コンテンツ)に繋がらず、「インフルエンサーマーケティングは効果がない」と感じてはいないでしょうか。
多くの真面目な担当者ほど、このジレンマに陥ってしまいます。しかし、原因はあなたの努力不足ではありません。もしかすると、戦う「場所」そのものを間違えているのかもしれないのです。
この記事を最後まで読めば、あなたはフォロワー数や競合の動向に一喜一憂する消耗戦から抜け出し、自社の売上に直結する、本質的なインフルエンサー戦略を設計できるようになります。
実は私たちにも、過去にクライアントの貴重な資本を「当たり前の戦略」で浪費させてしまった痛恨の経験があります。この記事では、その痛みから得た、本質的な視点の変え方についてお伝えします。
なぜ化粧品のインフルエンサー施策は「空振り」に終わるのか?
一般的なインフルエンサー施策が、なぜ「差別化なき消耗戦」となり、貴重な予算を浪費する結果に終わってしまうのでしょうか。その背景には、多くの企業が陥りがちな2つの思考のワナが存在します。
罠1:「フォロワー数が多い=影響力が高い」という幻想
インフルエンサーを選定する際、最も分かりやすい指標が「フォロワー数」です。しかし、この数字の魔力に囚われると、本質を見失いかねません。
例えば、フォロワー10万人のBさんと、5万人のAさんがいたとします。一見するとBさんの方が影響力は高そうですが、実態はどうでしょうか。ツールでアカウントの裏側を分析すると、驚くべき事実が見えてきます。
インフルエンサーB(10万人):フォロワーのアクティブ率は41%。興味関心も分散しており、あなたのブランド(例:20代女性向けアパレル)に興味がある層はごく僅か。
インフルエンサーA(5万人):フォロワーのアクティブ率は80%。フォロワーの93%が女性で、多くがブランドターゲットと重なる興味関心を持つ。
この場合、本当に商品の魅力を届け、購買に繋げてくれる可能性が高いのは、間違いなくAさんです。フォロワー数という表面的な数字だけで判断することは、誰にも響かないメッセージを、ただ広くばらまいているのと同じ状態なのです。
罠2:「競合と同じ土俵で戦う」という消耗戦
「競合がやっているから」という理由で施策を決めることは、自ら大手と同じ土俵に上がり、資本力の消耗戦に身を投じていることに他なりません。
私たちも過去、限られた資本のクライアント様に対し、潤沢な資本を前提とした「当たり前のマーケティング」を提案し、結果的に大手との消耗戦に巻き込み、撤退に追い込んでしまった痛恨の経験があります。
競合を追いかける戦略は、常に後手に回ります。本当に重要なのは、競合の動向を追いかけることではなく、自社が戦うべきユニークな場所を見つけ出すことなのです。
『Creatorスカウト』:特定のペルソナに影響力を持つインフルエンサーをデータに基づいて探し出し、直接アプローチすることで、無駄のない効果的な施策を実現します。

100億円ブランドの事例に学ぶ、インフルエンサー戦略の2つの新常識
では、どうすればこの消耗戦から抜け出し、ブランドを成長させる一手を見つけられるのでしょうか。その鍵は、ビジネスの「急所」を見抜くための思考法にあります。
新常識1:あなたの「本当の顧客」は誰ですか?
私たちは、あるコスメブランドを3年で売上100億円規模に成長させるご支援をしました。この成功の裏には、業界の常識を覆す「顧客の再定義」がありました。
一般的に、コスメのマーケティングは商品を使う「消費者」に向けて行われます。しかし私たちは、成功の鍵を握る最重要顧客は、棚の生殺与奪権を持つ「流通バイヤー」であると再定義したのです。
消費者の間でいくら話題になっても、バイヤーに「これは売れる」と確信してもらえなければ、商品は店頭に並ばず、売上は絶対に作れません。そこで私たちは、インフルエンサー施策のゴールを「消費者に話題になる」ことだけでなく、「バイヤーが“売れる”と確信する話題作り」に設定し直しました。
あなたのビジネスにおける「本当の顧客」は誰でしょうか?
お金を払う人(例:上記のバイヤー)
商品を使う人(例:エンドユーザー)
商品を広める人(例:インフルエンサー、熱心なファン)
この3つの視点でビジネスの急所を特定し、そこから逆算して戦略を組み立てることで、施策の精度は劇的に向上します。
新常識2:フォロワーの「本音」こそが最高のヒントになる
もう一つの成功事例として、D2Cヘアケアブランドの立ち上げを支援し、ローンチ後わずか6ヶ月で約20万人の新規購入者を獲得したケースがあります。
この成功の最大の要因は、当時、白髪ケア商品の訴求として常識だった「悩み」や「コンプレックス」を煽るネガティブな訴求に、断固として「NO」を突きつけたことでした。
実際にターゲット顧客の声に耳を傾けると、彼女たちの多くが、そのネガティブな広告自体に嫌悪感を抱いていることが分かったのです。顧客の隠された本音は「どうせなら、ポジティブな気持ちで悩みを解決したい」でした。
このインサイトに基づき、「悩みを心地よく解決し、ポジティブな未来を手に入れる」という全く新しいブランドコンセプトを提案。このメッセージを体現してくれる、フォロワーと親密な関係を築いているインフルエンサーを慎重に選定しました。
結果は、市場からの熱狂的な支持でした。これは、フォロワー数という「量」ではなく、フォロワーの「質」や「本音」を重視したからこそ得られた成果なのです。
もし、自社のインフルエンサー戦略をもう一度深く見つめ直したいと感じたら。ぜひ一度、私たちの無料相談をご活用ください。あなたのブランドが直面する課題を整理し、次の一手を共に考えます。
[→ 30分間の無料相談で現状の課題を整理する]
明日から、あなたのチームで試せる「最初の一歩」
知識を得るだけでなく、すぐに行動に移していただくために、具体的なワークをご提案します。表面的な「映え」や競合の真似を追うのではなく、あなたのブランドだけの戦略的な一歩を踏み出しましょう。
AIツールなどを活用し、気になるインフルエンサーのフォロワーがどんなことに興味・関心を持つのかをデータで分析し、自社のターゲット層とどれだけ重なるかを可視化するのも有効です。
その上で、ぜひあなたのチームで以下の問いに対する答えを書き出してみてください。
チームで実践する3つの問い
私たちの「本当の顧客(お金を払う人・使う人・広める人)」は、それぞれ誰ですか?
その顧客が、インフルエンサーの投稿を見て「欲しい」と感じる「感情」は何ですか?(機能ではなく、感情です)
その感情を最も効果的に引き出せるのは、どんな「人(インフルエンサーのペルソナ)」で、どんな「言葉」でしょうか?
この問いに向き合うことが、費用対効果の高い、賢いインフルエンサー戦略の設計図になるはずです。
あなたのブランドが持つ「熱い思い」を、届けるべき人に届けるために
この記事でお伝えしたかったのは、単なるインフルエンサーの選び方のテクニックではありません。それは、自社のビジネスと顧客にいかに深く向き合い、戦うべき場所を自ら創り出すかという戦略的な「視点」です。
「この商品で世の中を良くしたい」
素晴らしい製品に込められたその「熱い思い」は、正しい届け方さえ見つければ、必ずビジネスを動かす力になります。
私たちは、かつて広告代理店に真剣に相手にされなかったような、情熱ある企業の「かけこみ寺」のような存在でありたいと願っています。その想いで、あなたのブランドが直面する課題に、チームの一員として伴走します。
思考を整理するための客観的な視点が必要だと感じたら、いつでも私たちにご相談ください。あなたのブランドの挑戦を応援する伴走者として、お待ちしております。