コスメブランドのマーケティング担当者様から、このようなご相談をいただくことが増えています。
「ギフティング施策を実施し、SNSでの投稿数は50件ほど担保できた。しかし、その中身を見てみると『素敵な商品をいただきました』『ありがとうございます』といった、当たり障りのない“お礼投稿”ばかり。結果として、いいねやコメントといったエンゲージメントは少なく、肝心の売上にも全く繋がらない……」
これは、施策が意図した成果を出せていない、典型的なケースと言えるかもしれません。
しかし、その原因はインフルエンサーにあるのではなく、多くの場合、施策を設計したブランド側にあります。UGC(ユーザー生成コンテンツ)が「お礼投稿」で止まってしまうのには、構造的な理由が存在するのです。
本記事では、その理由を解き明かし、「お礼投稿」を「熱狂口コミ」へと変え、UGCの質と量を飛躍的に高めるための2つの戦略的アプローチを解説します。
なぜUGC施策は「お礼投稿」で止まってしまうのか?
施策が「お礼投稿」で終わってしまう背景には、大きく分けて2つの「不在」があります。
失敗の源泉①:メッセージの不在(語るべき物語がない)
インフルエンサーに商品を送る際、どのような資料を同梱しているでしょうか。もし、それが商品の特徴や機能性を説明する資料だけだとしたら、インフルエンサーが語れることも自ずと機能的な「お礼」に限られてしまいます。
心が動かされる「物語」や「熱い想い」が共有されていなければ、インフルエンサーも自身の言葉で熱を込めて語ることができないのです。
失敗の源泉②:メッセンジャーのミスマッチ(響く相手がいない)
もう一つの大きな原因は、選定基準のミスマッチです。「フォロワー数が多いから」「なんとなく世界観(映え)が合っているから」という理由だけでギフティング先を選んでいないでしょうか。
例えば、AI分析ツールでインフルエンサーのフォロワーを詳細に分析すると、驚くべき実態が見えてきます。インフルエンサー本人はコスメ好きでも、そのフォロワーの興味関心は「レストラン/食べ物 60.91%」「子供 56.85%」に偏っており、肝心の「ビューティー/コスメ」は41.62%に留まっている、というケースは珍しくありません。
このようなインフルエンサーがコスメのPR投稿をしても、フォロワーには響きません。結果として、「お礼投稿」はされるものの、フォロワーからの「熱狂(=コメント、保存、購買)」は生まれないのです。
アプローチ1(質):インフルエンサーを「共犯者」に変えるメッセージ戦略
UGCの「質」を高めるためにまず必要なのは、インフルエンサーに「お礼」ではなく「熱い想い」を語ってもらうことです。それには、彼らを単なる紹介者ではなく「ブランドの想いを共に届ける共犯者」に変える、メッセージの共有が不可欠です。
“業界の常識”を捨て、顧客の“本音”を届ける
私たちは過去、あるD2Cヘアケアブランドの立ち上げをご支援した際、大きな決断を迫られました。それは、白髪ケア商品において業界の常識だった「悩み」や「コンプレックス」を煽るネガティブな訴求を、顧客の“本音”に基づき、すべて却下するというものでした。
ターゲット顧客の声を深くヒアリングすると、彼女たちはネガティブな訴求そのものに嫌悪感を抱いており、「ポジティブな気持ちで悩みを解決したい」と願っていることが判明したのです。
私たちは、「悩みを心地よく解決し、ポジティブな未来を手に入れる」という全く新しいメッセージをインフルエンサーたちと丁寧に共有しました。結果、このメッセージは熱狂的な共感を呼び、ブランドはローンチ後わずか半年で約20万人の新規獲得という圧倒的な成果を上げることができました。
「熱い想い」と「ストーリー」こそが最強の差別化要因
なぜこの商品を作ったのか? どんな苦労があったのか? 創業者のどんな願いが込められているのか?
私たちは、この作り手の情熱や開発背景にある「ストーリー」こそが、現代の市場において最も強力な差別化要因になると固く信じています。
この「熱い想い」をインフルエンサーと共有し、彼ら自身がまず商品の第一のファンになってくれること。それこそが、単なるお礼ではない、自身の言葉で情熱的に語る「熱狂口コミ」を生み出す源泉となります。
アプローチ2(量と質):AIが導く「本当に響く」メッセンジャー選定
UGCの「量」(=バズ)を生み出すには、一人の著名なインフルエンサーより、熱量の高い複数のマイクロインフルエンサーによる同時多発的な投稿が効果的です。アプローチ1で用意した「熱いメッセージ」を届けるにふさわしい、「質」の高いメッセンジャーをAIデータ分析で見つけ出します。
「フォロワー数」の罠から抜け出す
インフルエンサー選定で最も危険なのが、「フォロワー数」という表面的な数字だけを見てしまうことです。
私たちのAI分析ツール(Creator スカウト)の事例では、フォロワー10万人のインフルエンサーBよりも、フォロワー5万人のインフルエンサーAの方が、PR商材(コスメやアパレル)に興味を持つアクティブな女性フォロワーが16倍以上も多いというケースがありました。
フォロワー数が半分でも、狙うべきターゲット層の「質」が16倍高ければ、どちらの施策が売上に繋がるかは明白です。AI分析は、アクティブ率、フォロワーの興味関心、年代、性別までを正確に可視化し、「質の高い」フォロワーを持つ人だけを選定することを可能にします。
究極の選定術:「ペルソナ」から逆算するキーアカウント調査
最も確実なメッセンジャー選定術は、ブランド側が探すのではなく、「理想の顧客(ペルソナ)が“既に信頼している”人」に依頼することです。
AIツールによる「キーアカウント調査」は、私たちが設定したペルソナ(例:20代社会人、オーガニックコスメ好き)が、SNS上で共通してフォローしているインフルエンサーを発見します。
顧客がすでに信頼を寄せているインフルエンサーにギフティングを行うことは、まさに「熱狂口コミ」を生み出すための最短ルートであり、施策の失敗リスクを最小限に抑えることができます。
UGC施策を「取引」から「共創」へ変えるために
「お礼投稿」は、ブランドとインフルエンサーの「取引」から生まれます。「熱狂口コミ」は、ブランドとインフルエンサーの「共創」から生まれます。
そして、その「共創」の土台となるのが、
- 顧客の本音を捉えた「熱いメッセージ(物語)」
- AIが「質」を証明した「最適なメッセンジャー」
この2つのアプローチです。
この両輪を回すことで、UGCの質と量は高まり、ギフティング施策は本物の成果(売上)へと繋がっていきます。
もし、あなたのギフティング施策が「お礼投稿」で止まってしまっているのなら。あるいは、データに基づいたインフルエンサー選定(スカウティング)で、UGCの質と量を本気で高めたいとお考えなら、ぜひ一度、私たちの無料相談をご活用ください。
私たちは、素晴らしい製品と情熱はあるものの、マーケティングノウハウが不足しているブランドや、大手代理店が真剣に相手にしてくれないような熱い想いを持つ企業様の「かけこみ寺」として存在します。

