「Instagramのリール投稿がバズった。保存数は1,000件を超えている。なのに、プロフィールへのクリックはたったの10件…」
今、この記事を開いたあなたは、まさにこのようなジレンマを抱えているのではないでしょうか。
化粧品ブランドのSNS運用において、「役立ち情報(ハウツー、悩み解決)」は、確かにユーザーの「保存」を稼ぎやすい鉄板のコンテンツです。しかし、どれだけ保存数が伸びても、それがフォロワー増加やECサイトへの送客、つまり「売上」に繋がらなければ、施策として正しいのか不安になってしまうのも無理はありません。
もしあなたが今、「投稿は保存されるのに、誰にも響いていない」と感じているなら。それは、あなたの努力不足ではありません。多くの化粧品メーカーが陥ってしまいがちな、「情報のコモディティ化」というワナにはまっているだけかもしれません。
私たちファーストテンプルは、これまで多くのクライアント様と共に、そのブランドが持つ「熱い想い」を消費者に届けるお手伝いをしてきました。その中で、素晴らしい商品と情熱があるにもかかわらず、他社の成功事例を真似るばかりで成果が出ず、道に迷っている企業様も数多く見てきました。
この記事では、なぜあなたの「役立ち情報」が保存されるだけで終わってしまうのか、その本質的な理由と、私たちが10万フォロワーのアカウントを育てた実績から導き出した「保存」を「ブランドへの興味」に変えるための戦略について解説します。
インスタで「保存」は増えるが「プロフィールクリック」に繋がらない根本理由
結論から言えば、ユーザーはあなたの発信する「情報」には価値を感じていますが、その情報を発信している「あなた(ブランド)」自身には、まだ興味を持っていないからです。
理由1:ユーザーは「情報」を保存し、「世界観」をフォローする
今の時代、悩み解決の情報はインターネット上に溢れています。ユーザーにとって、その情報が「A社」のものか「B社」のものかは、もはや重要ではありません。彼らは有益な「情報」をブックマーク(保存)するだけで満足し、次の情報へと移っていきます。
ユーザーが自ら「このアカウントをフォローしたい」とプロフィールに訪れるのは、その情報が役立った時ではなく、その情報の発信元であるブランドの「世界観」や「価値観」に共感した時なのです。
理由2:「誰でも言える正論」ではファンは生まれない
「お肌のためには睡眠が大切です」「保湿にはセラミドが有効です」
こうした「誰でも言える正論(役立ち情報)」だけを発信し続けても、その他大勢のアカウントに埋もれてしまいます。重要なのは、その情報を通じて「なぜ、私たち(ブランド)がそれを発信するのか」という独自の視点や哲学を伝えること。それこそが、他社には真似できない「差別化」となり、ブランドのファンを生み出す第一歩となります。
[事例] 私たちが支援したD2Cヘアケアブランドの転換点
これは、かつて私たちが支援したD2Cヘアケアブランドが直面した課題と非常に似ています。
そのブランドは当初、白髪ケア商品の訴求として、業界の常識である「悩み」や「コンプレックス」を煽るネガティブな訴求を検討していました。しかし、ターゲット顧客の声を深くヒアリングすると、顧客はそのネガティブな訴求自体に嫌悪感を抱いていたのです。
もし、そのままネガティブ訴求(悩み解決)の役立ち情報だけを発信し続けていたら、どうなっていたでしょう?ユーザーは「白髪を隠すテクニック」といった情報は保存するかもしれません。しかし、「悩みを煽ってくるこのアカウント」を積極的にフォローしたり、好きになったりすることはなかったはずです。
「保存」を「ファン化」に変える2つの戦略(10万フォロワー実績)
では、どうすれば「保存されるだけ」の状態から脱却できるのでしょうか。
私たちは過去に、あるドラッグストアコスメブランド(&honey)のInstagramアカウント運用を支援し、フォロワー約4,500人の状態から10万人を超えるまでに成長させた実績があります。
その成功の最大の要因は、単に商品の機能性を伝える情報発信に終始しなかったこと。私たちはクライアントと議論を重ね、ブランドが持つ「可愛い」という世界観を徹底的に追求し、それを写真一枚一枚、言葉の一つひとつに込めて発信し続けました。
この経験から導き出された、「保存」を「ブランドへの興味」に変える2つの転換術をご紹介します。
戦略1:「役立ち情報」に「ブランドの熱い想い」を1滴垂らす
役立ち情報の発信を止める必要はありません。その発信に、ブランドの「熱い想い」や「ストーリー」を1滴垂らすのです。
例えば、化粧水の効果的な使い方(役立ち情報)を紹介するリール動画の中に、
「開発者がどうしてもこのテクスチャを実現したくて、試作を100回繰り返したんです」
「この香りは、忙しい毎日に“ポジティブな未来”を感じてほしくて選びました」
といった開発秘話やブランドの哲学を忍ばせます。
D2Cヘアケアブランドの事例のように、単なる悩み解決(マイナスをゼロに)ではなく、「その商品を手にすることで得られるポジティブな未来(ゼロをプラスに)」を一貫して提示すること。それこそが、ユーザーの心を動かし、「このブランド、他と何かが違う」と感じさせる強力な「差別化」に繋がります。
戦略2:「保存」の最後に「プロフィールを訪問する理由」を設計する
コンテンツを「保存して終わり」にさせてはいけません。投稿の最後やキャプションで、ユーザーがプロフィールを訪問する明確な「理由」と「メリット」を提示し、次の行動への導線を設計することが不可欠です。
「この情報が役立った方は、プロフ(@アカウント名)の限定情報も要チェック!」
「動画で紹介した〇〇、実はこんな開発秘話が…。続きはプロフのURLで公開中」
「保存ありがとうございます!プロフでは、さらに詳しい肌悩み診断もできます」
このように、保存という接点を「点」で終わらせず、プロフィール訪問(=ブランドへの興味)という「線」に繋げる工夫が、ファン化への導線となります。
化粧品ブランドが「発信の軸」を取り戻すための具体的な3施策
「役立ち情報」と「ブランドの想い」を両立させ、プロフィールへの導線を設計する。そのために有効な、具体的な3つの施策をご紹介します。
施策1:「役立つ」と「欲しい」を両立する動画(リール)制作
リール動画は、役立つ情報をテンポ良く伝えられる一方、ブランドの深い想いを伝えるには工夫が必要です。保存されやすい「役立ち情報」と、ブランドの「熱い想い」を伝えるストーリーを融合させたリール動画の制作・運用が鍵となります。
例えば、社内にある開発秘話や創業者の想いを綴ったブログ記事はありませんか?そのテキスト資産を元に、AIツール(Vrewなど)を活用すれば、低コストかつスピーディーに動画のシナリオへ転用し、発信することも可能です。
施策2:AI分析による「ファン候補」への戦略的ギフティング
そもそも、あなたの投稿を保存しているユーザー層が、本当にブランドのターゲットと一致しているでしょうか?
もしターゲットとズレているなら、いくらプロフィールへ誘導してもファン化には繋がりません。AIツール(Creatorスカウトなど)を活用し、インフルエンサーのフォロワー数といった表面的な数字に惑わされず、その「フォロワーの質(興味関心、アクティブ率など)」をデータで徹底的に分析することが重要です。
本当にブランドと親和性の高い(=ファンになる可能性が高い)ユーザー層に情報を届けることで、UGC(ユーザー生成コンテンツ)の創出とファン化を加速させます。
施策3:ブランドの世界観を蓄積する投稿フォーマット設計
デザインやトーン&マナーがバラバラな投稿を続けていると、ユーザーはどの投稿が保存されても「あのブランドだ」と認識できません。
ブランドの世界観を反映する「色使い」「フォント」「ロゴの配置」といった細かなレギュレーションを策定し、投稿フォーマットを「ブランド蓄積型」へ見直すコンサルティングも有効です。これにより、アカウント全体に一貫性が生まれ、どの投稿から入ったユーザーにもブランドへの興味を喚起し、プロフィール訪問を促すことができます。
「保存数」の先にある「欲しい」という感情を創造するために
Instagram運用において、「保存数」はユーザーとの重要な「接点」であり、無視すべき指標ではありません。しかし、それがゴールになってしまっては、ブランドの資産は何も蓄積されません。
マーケティング支援を通じて目指すべきは、単なる数字の改善ではなく、その先にある「『欲しい』という感情を創造する」ことです。
あなたのブランドが持つ「熱い想い」を、届けるべき人に、正しく届けること。
もし、この記事を読んで、自社のSNS戦略を「保存されるだけ」から「ファンを創る」戦略へと進化させたいと感じたら。あるいは、ブランドの「熱い想い」を伝える客観的な視点が必要だと感じたら。
ぜひ一度、私たちの無料相談をご活用ください。私たちは、情熱あるメーカー様の「かけこみ寺」として、あなたのブランドに「伴走」するパートナーでありたいと願っています。

